©︎ 2019 Chateau Clondeaux

ヴォーカルのKyoko、ギターのTakayanagiからなるユニット「Chateau Clondeaux」
再始動した彼らは今どんな思いで自分たちの音楽に向き合っているのか。

前半は再結成第一弾シングル「終わらない」のレコーディング直後、再結成にまつわる思いや、結成当時の思い出、さらに自身の音楽のルーツなどについて語ってもらった。​

Text by Yukie ICHIMURA

結成のきっかけ、そして解散の理由

――今回、15年の時を経て再結成となったわけだけど、そもそもChateau Clondeaux(以下CC)を組んだきっかけを教えてください。

Takayanagi もう20年くらい前に、お互いバンドメンバーを募集していて「ふたりだけどとりあえず始めましょう!」と始まったバンド。活動したのは5年くらいかな。

Kyoko 20曲以上は作ったよね。

 

Takayanagi そうだね。いま聴き直したら、「あの時、俺は何をやりたかったんだろう?」と思うこともあるけど、割といろんなことにトライしてたよね。

 

Kyoko してたねえ。

 

――再結成して、その時やりたかったことと今やりたいことの違いは?

 

Takayanagi そもそも今回作っているのは、解散する時に作ってたデモの続きなんです。新曲を作った訳ではなくて、むしろそのほうがおもしろくない⁉︎と話し合って。

 

Kyoko 続きだよね。本当に続いてる。再結成っていうと、全然違うことをやるイメージがあるけど、本当に良くも悪くも同じことをまた始めたって感じ。

 

――それは興味深いね。ところで解散した理由はなんだったんですか?

 

Takayanagi 当時、お互い違うことをやりたいという気持ちがあって。僕はもうちょっと打ち込みやダンスミュージックがやりたかったし。

 

Kyoko 私はもっと生演奏の曲だったりブルースとかを歌いたかった。

 

Takayanagi もともと「相反するふたりが一緒にやったら面白いね」と楽しんでいたところがあったので。

 

Kyoko いろいろやってみて、改めて自分のやりたいことが見えてきて。本格的に自分のやりたいことに没入したいと考えたんだよね。生っぽい温度感のあるロックやブルースとか、シンガーとしてもっと歌を極めたかった。Takayanagiが打ち込みのほうにいくのであれば、それで終わりのつもりだったので。

15年の時を経た再結成。見えた互いの成長

――それで再結成ってどういうきっかけだったの?

Takayanagi 昔一緒に作った曲をKyokoのプロジェクト「キャラバンキョウコ」でカバーしたいと連絡があって。「久しぶり! 元気? 全然やってもらっていいですよー」なんて話をしてね。

 

――「Umbrella Flower」とか?

 

Kyoko そうそう。あと「Vin Rouge」も。

 

Takayanagi そんなやり取りが何回かあって「今はどんなことをやってるの?」って話してみて「忙しいかもしれないけど面白そうだからもう1回一緒に曲作ってみない?」と僕から誘ってみた。

 

――じゃ、やってみようみたいな?

 

Takayanagi 実際に忙しかったりでお互い心の余裕はそれほどないかもしれないけれど、久々に今やったら面白いかもね、っていうのはふたりとも感じたんだよね。でもなんかね、まったく初めてやる訳じゃないから、なんとなくお互いまた何か作っていけるかなという思いはあって。作りあげる曲も、時間の使い方も、できることとできないことも分かってるし。

――5年ってけっこう長いもんね。

 

Kyoko 長いけど、15年やめてたほうが長いと思うよ(笑)

 

Takayanagi 「ちょっと違うね」って解散してから、それぞれ意外と音楽の仕事が忙しくなったりね。そこからお互いミュージシャンになれたような気がする。

 

Kyoko  CCをやってるときは、ふたりとも音楽の仕事はそれほどやってなかったよね。
CCをやめてから、音楽の仕事をやるようになったから。

 

――おもしろいね。

 

Kyoko 再結成しようとなって、あのときはガマンできなかったことが今ならガマンできるかなとか。Takayanagiは厳しかったし、わたしも若かったし(笑)今回のレコーディングもいろいろ言われたけど、当時は「それなら私じゃなくていいじゃん!」って、すぐなってたんだよね。だけど今はいろんな修業期間を経て。

 

Takayanagi もまれて?(笑)

 

Kyoko もまれて(笑)。あの時は聞けなかったことが、今なら素直に聞けるんじゃないかなと思ったから、じゃあまたやろうかという気持ちになった部分はあるかな。素直に聞けたかどうかは分からないけど(笑)

 

Takayanagi (笑)「この声でこう歌ったらこうなるはずなのに!」という思いを全部ぶつけていました。

 

Kyoko そんなこと、私に言われてもってね(笑)

CCは何を目指しているのか。現在の立ち位置は?

――15年ぶりにやってみて、お互いどうですか?  引き出しも増えたはずだけど。

Takayanagi 15年前に作った曲なので、設計図も昔のままでやっている感じ。信頼感は増しているので、もっと自由に遊んでくれていいと思っています。基本的に以前よりはもっと自由な感じになっていると思います。

Kyoko がんばります!(笑)

 

Takayanagi その自由さは音作りの手法にも表れていて。以前はもっと多重録音で声をたくさん重ねたり、いろいろなことをやり尽くそうとしたけど、今回は何人も重ねずに真ん中の歌は1人だけ。Kyokoがやっているユニット「キャラバンキョウコ」と同じ手法というか。

 

Kyoko そういう部分は受け入れてくれたのかなと思う。

 

――そもそもCCはどんなものを目指しているの?

 

Takayanagi すごく端的に言えば、僕がアコギで作る切ないコード進行の上でKyokoが歌うということです。
ブルースやロックが好きなKyokoが、そこではないフィールドで歌うという。ジャンル的には6~7割、もしくは7~8割!? 僕の趣味のほうに引っ張ってきている印象ですが。

――オシャレなイメージ。

 

Takayanagi 「そういう曲をこの声が歌ったらいいのに!」って思ってる。いつも泥臭いのを歌ってる人だから。

 

Kyoko (爆笑)

 

Takayanagi こっちも似合いますよとお薦めする役割。「やってみてよ!絶対にかっこいいと思うよ」って。
料理で言えば、板前さんになりたいのではなくて、お店をプロデュースしたいんです。新しいマリアージュ、組み合わせの妙による美味しさを提示していきたい。

 

Kyoko マグロとアボカドみたいな(笑)。おまけにそれをお寿司に入れちゃったりして。

 

Takayanagi カリフォルニアロールを考えて美味しさを伝えたいのであり、巻く人ではないんです。マグロをうまく解体する人がいればその人にやってもらいたい。なんか分かりづらくなっちゃったね(笑)。

 

――クリエイティブなほうに興味があるってことだもんね。でも、CCとしてTakayanagiの立ち位置は?

 

Kyoko 以前はプロデューサー的な意味合いが強かったじゃない。だけど、今はシンプルにギタリストでいいよね。

 

Takayanagi じゃあ、ギタリストです(笑)。まぁ結局はできる楽器が限られているので。今回の「In This Pain」という曲は、ギターで作っているんです。だけど作り終わると、ギターがほとんど入ってない。意識はギター弾きとしてやっているけど、ギターじゃなきゃヤダっていうのはないんです。

CCのこと、お互いのことについて

――ユニット名の由来は?

Takayanagi 架空のワインの名前。お互いワインが好きだから、売れたらフランスに畑を買ってワインを作ろうね、って話をしていたの。実は、僕はワインの学校に通っていたことがあります。

Kyoko 知らなかった。かぶれてるなぁとは思っていたけど(笑)

Takayanagi そう。かぶれていた時期があって(笑)。半年から1年くらい勉強していました。大げさなことじゃなく、自分で好きなものを選べたら楽しいなというだけなんだけど。

 

――ワインにはいろいろな表情があると思うんだけど、このユニットはどんなイメージですか?

 

Takayanagi エレガントで華やかで、それでいて毒っ気もあるような。ただ重いとか濃いのではなくて、品の良さを感じるワインが好きなのでそういう感じを目指しています。って、実際そうなってるかな?

Kyoko すっきりとはしているんじゃない?

――Kyokoのキャラクターもあるんじゃない?

 

Kyoko:それもあるかも。悲しいことを歌っていてもあんまり悲しくないというか、どこかでドライというか、後味がしつこくないというか。声だけで言うと、割とどこかでさっぱりしているのかなと思ってる。だからどれだけマイナーキーで切ない曲でも、そんなに暗い感じにはならないのかな。

 

――いい意味でも悪い意味でもクヨクヨ感はないもんね(笑)

 

Kyoko 悪い意味ってなに?(笑)

 

Takayanagi 人となりを知っていると、もう、ね(笑)

 

――それぞれどんなアーティストに影響を受けた?

 

Takayanagi 90年代中盤くらいまでに流行ったアシッドジャズの、あの雰囲気や洗練されたコード進行が大好き。ベタですけど、The Brand New Heavies、Jamiroquai、Mondo Grossoなど今でも本当に好き。ブラジル音楽とかもアシッドジャズからの派生で聴くようになった。

 

――アシッドジャズを好きになるきっかけは?

 

Takayanagi もともとはずっとロックをやっていたんです。「Train Train / The Blue Hearts」が弾きたくてギターを始めて、マナー通り「Smoke on the Water / Deep Purple」とか弾いたり。あと、Extremeが大好きでしたね。
その後、アコギ1本とリュックだけで1年間、海外を旅したことがあったんです。そしたらアコギだから歪んだ音は出ないし、弾けるものがなくなっちゃって「俺、引き出し少なっ!」ってなりました。そんな旅の途中で、あ、これカッコいい話なんですけど(笑)、僕は東から西へ旅してたんですが「西から東へ旅する人」とユーラシア大陸の真ん中くらいですれ違うわけですよ。で、西からギターを抱えて旅してる人と知り合ったんですが、その人がギターがめちゃくちゃ上手で、すごく軽やかに複雑そうで美しい曲を演奏しててビックリした。「ジャズとかやらないの?」って言われて、オシャレなコードをいくつか教えてもらって。いまだによく覚えてる。

Kyoko オランダ人だったっけ?

 

Takayanagi そう、オランダ人。「枯葉(Autumn Leaves)」を教えてもらった。忘れもしないけど、当時のインドはではタバコ屋みたいな佇まいのレコード店というか、カセットテープ専門店でしたが、そこで「アシッドジャズ」って書かれてるカセットテープを買って、同じ店で購入したウォークマンで聴きながら旅をしてた。めちゃくちゃ耳コピしてた。初めてロックから抜け出せたのがその時な気がする。

 

――Kyokoの音楽遍歴は?

 

Kyoko 私は最初はロックだったけど、とにかく掘り下げていって、今はブルース。中高は合唱部だったけど、大学では軽音楽部に入って、先輩がいろいろな音楽を聴いているから教えてもらって、自分で聴いて好きなものをピックアップしていったら、Janis Joplinだったり、70年代のロックがカッコよくて好きになっていった感じかな。

Takayanagi KyokoがJanis Joplinが好きっていうのは皆が分かると思う。逆に合唱部ってどうなの⁉︎(笑)個性出し過ぎで調和しないんじゃない?

 

Kyoko いやいやいや。合唱部時代はソプラノだったんだよ。声質は低いけどさ、実際の音域は高めなんだと思うよ。

 

Takayanagi 高く聴こえないんだよね。

 

Kyoko そうね。どちらかというと声質の話だと思う。今日録った曲って、もともとのデモよりキーを上げてるの。仮歌だとちょうどいい感じに聴こえてたんだけど、デモの通りに歌ったら低く聴こえて。私が歌うとなんか妙に暗いというか低いよね、って話になって移調してこの感じかなと。結局、半音で2音上げたんだよね。
不思議なもので、聴こえ方って人によって高く聴こえる声と低く聴こえる声があって、私の歌を同じキーで誰かが歌ったらキンキン聴こえちゃうと思うんだよね。

 

Takayanagi うん。落ち着いて聴こえるよね。

 

Kyoko 良くも悪くも低めに聞こえるから調整は必要だよね。

 

Takayanagi 僕のギターも低めに聴こえるんだよね。

 

Kyoko それはチューニングが悪い(笑)。もしくは押さえが甘い(笑)

 

Takayanagi ごめんなさい、どうしても言いたくなっちゃった(笑)

 

Kyoko 声質の話よね。

Takayanagi 結局、今回もまたやりたいとか、前も一緒にやりたいと思ったのって、この「声」ありき。この人じゃなかったら思わないだろうから。語弊があるかもしれないけど、この楽器に変わるシンガーがいないというか。

 

Kyoko 声は一人一個だからね。声が似ているとしたら母親くらい(笑)

 

Takayanagi ボーカリストとしての存在感が凄くある。その声が好きだし、何より心地がいい。何を歌っていても突き刺さってくるから「ロックやブルースだけじゃなくてこういう雰囲気でもやってごらんよ」と、いろいろリクエストしてしまうけど、絶対にこっちのほうが似合うというくらいのプロデュースをしたいんです。

 

Kyoko ありがとう!これからもよろしくお願いします。


  ―後半はシングル曲「終わらない」・「In This Pain」について大いに語る

フィールドが異なるミュージシャン同士ゆえ

湧き上がる創造性と遊び心